未来都市、深セン(中国)にいってきた(luckin coffee編)
はじめに
こんにちは橋本です。中国深センで2018年に話題をさらった、「luckin coffee(ラッキンコーヒー)」を体験してきましたので共有したいと思います。
luckin coffee(ラッキンコーヒー)とは
ラッキンコーヒーは2018年1月に北京で1号店をオープンし、その年末にはたった1年弱で中国22都市、2000店舗超を出店(コーヒー文化の根付いている大都市のオフィス街を中心に)。一気に業界2位(1位はスターバックス)までのし上がった中国発のコーヒーチェーンです。
7月には中国市場最速でユニコーン(評価額10億ドル超の未上場企業)の仲間入りを果たしました。女性起業家である銭(チェン)CEOは2019年に新たに2500店舗を出店し4500店舗に、2022年には6000店舗に増やすという規格外の目標を設定しています。これにより店舗数とコーヒーの販売量で2019年内には中国市場で最大のコーヒーチェーンプランドを目指すということです。
luckin coffeeの特徴
特徴の1つに、アプリからしか注文が出来ない点があります。既に2000店舗以上のリアル店舗を持っていますが、完全にデジタル起点のサービス設計になっています。店舗設計もテイクアウト、デリバリーを中心に据えていますので、店内座席が多くありません。つまり狭小スペースで運営ができるわけです。また100%モバイル注文&決済ですから、店舗スタッフの仕事内容も変わります。「注文受け」も「レジ業務」もありません。ですので、「狭小スペース」且つ「最少人員」で店舗運営ができるわけです。
またもう一つの特徴として、クーポンのばら撒きがあります。初回無料クーポン、友達紹介で1杯無料クーポン、5杯買うと5杯無料クーポン、特定曜日は無料クーポンと乱発しています。現在はクーポンをばら撒くことで周辺のユーザー(家族や友人)を巻き込んでいくという、「クーポン起点のバイラルネットワーク」という感じですが、まずは顧客数と店舗数を急拡大し中国市場でNo.1ブランドになる、ということにフォーカスしている印象です。
上のHP動画からもわかるように、コーヒー豆やその品質へのこだわりをアピールしており、イタリア、日本、中国出身のWBC(ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ)優勝者チームによって、慎重にブレンドされた豆を使っているということを謳っています。
実際に買ってみる
事前準備として日本でアプリをDLして登録を試みましたが、現地の電話番号と銀行口座がないと使えませんw ですので現地の助っ人に手伝ってもらいました。
詳しくは、こちらの動画を御覧ください。
個人情報を登録して、「店舗ピックアップ」か「デリバリー」を選択して、商品を選択。今回はデリバリーを選択しましたのでデリバリー先を入力して、決済(今回はWeChatPay)します。また初めての購入でしたので商品は無料!w、配送料のみ6元(100円程)支払いました。
それで、どこに配達してもらったかというと、「喜荅」という現地ではわりと有名らしい中華料理屋さんです(むちゃくちゃ美味しかった)。何の関係もない中華料理屋さんに持ってきてもらいました。日本ではちょっと考えずらいですが、中国ではわりと当たり前のようです。
来ました!青い鹿マークです。2階で食事していましたが、部屋まで持ってきてくれます。
注文番号とQRコードが貼り付けてあります。これをアプリの注文番号と照合します。
青いボディーがかっこいいですね。
個人的な感想としては、この蓋の飲み口が発明だなと思いました。通常この飲み口がもっと狭く平らで、熱くて飲めない上に、口元からこぼれるんです。こちらは口が広くて、内側が窪みになっているので吸い付けるようになっています。熱さが緩和され、こぼれづらい設計になっています。大変気に入りまして記念に日本に持って帰ろうと思っていたのですが、別の場所のどっかのトイレに置き忘れて来ましたw
またこの後飲んだチーズティー(大人気らしいです)も同じ蓋でしたので、これだけ作っている会社があるんだと思います。
本体にも注文ラベルが貼り付けられています。
食事を終えて現地から歩いて6分程の店舗にも行ってみました。ビルの1階に入っています。
店内はこんな感じで、カウンター6席のみの狭小スペースです。スタッフも1人だけ。
もう1杯買いました。今度はアイスコーヒー。
アプリで注文&決済して、アプリ内QRコードを、スキャナにかざすだけです。作りたてを手渡ししてくれました。今回もクーポンが利用できて商品は無料!w 何料か聞き忘れましたが4元(70円弱)支払いました。
別の店にも行ってみました。こちらは「華強北(ファーチャンペイ)」という地下鉄2号線のその名の通り「華強北駅」一帯に広がる中国最大の電気街です。秋葉原の30倍程の規模があり中国全土、世界中からバイヤーが部品の買い付けに来ます。その入口にluckinとしては割と広めの店舗がありました。
スタッフ2人で開店の準備をしていました。
店舗空間はそこそこ広いですが、それでも席は少数。テーブル3✕3席。
カウンターの5席。
まとめ
美味しいコーヒーを2杯頂いて、デリバリー代も込みで、トータル支払いが10元(165円程)でした!w 味はどうかというと酸味抑えめで、濃すぎず、ブラックでも若干甘味を感じる風味で、確かにおいしいです。自分の味覚にはとても合いました。
クーポンのばら撒きには驚きますが、2018年末時点でアプリユーザーは1250万人程と1年弱で強力にネットワークを広げています。コンセプトも非常にユニークです。「飲む場所にはこだわらず(座席の外部化)」、「テイクアウトやデリバリー」を前提としたサービス設計で、オフィスビルのロビーのような狭小スペースにも効率的に出店しています。オペレーションも最少人数で回せるように工夫されています。
また特徴的なのが、初期の配達機能をフードデリバリーサービスに頼らず、現地の物流会社と提携し独自に構築した点です(配達人員も自社で雇用しているようです)。現在はテンセント系の美団とも提携し配達機能の外部化も進めているようですが、30分以内配達(エクスプレス・デリバリー:超過時は次回1杯無料、こぼれていたら1杯無料など)を売りにしている点からもこの辺りへの強いこだわりを感じます。2019年末にはどこまで成長するのでしょうか。